共同研究・開発
Effect of Supplementation on Macular Pigment
フロリダ国際大学(FIU)
リチャード・ボーン教授
Richard A. Bone
フロリダ大学 物理学部
視覚・眼科団体会員/国際カロテノイド学会会員
カロテノイドの成分に関する研究はもちろん、物理学の視点に立った「人間の視覚システムにおける、信号処理の研究」「視覚システム応答の特性の研究」など、多角的な視点で研究を重ねています。
カロテノイドを使用した網膜障害の治療製剤等の特許を5件取得され、視覚システムやカロテノイド、ルテインに関する出版物・論文・学会発表も多数おこなっています。
ジョン・ランドラム教授
John Landrum
フロリダ大学 化学・生化学部
アメリカ化学会/FIUシグマXi/視覚・眼科学研究協会/CARIG会員/Working Group 角網膜および栄養科学会/国際カロテノイド協会代表
国際カロテノイド学会、角網膜及び、栄養科学の創立メンバーとして、現在も世界の生化学分野を牽引する教授として世界から注目されています。
黄斑変性症治療の抗酸化カロテノイド等の特許を3件取得され、黄斑変性症やカロテノイド、ルテインに関する出版物・論文・学会発表も多数おこなっています。
黄斑カロテノイド、キサントフィル、ルテイン、ゼアキサンチン、メソゼアキサンチンは目の網膜に存在し、カロテノイドの一種である。これらカロテノイドは、老化による黄斑変性などの疾患を防ぐとされ、さらには糖尿病網膜症や網膜色素変性症(アッシャー症候群)に対しての効果も注視されている。
網膜における黄斑色素の濃度は、黄斑カロテノイドと共に食品サプリメントに対する効果を示すので、網膜組織への吸収の有効性については異なる製法を研究することが望ましいと考えられる。サプリメントに使用されるルテインの主要な供給源はマリーゴールドブルームであり、ルテインエステルの状態にある。しかしながら、アルカリ鹸化を伴う抽出及び精製プロセスは、遊離ルテインをもたらす。マリーゴールドからルテインを得る際に食品用の溶媒が用いられ、遊離ルテイン及びルテインエステルの両方がサプリメントとして供給されている。
比較研究では、遊離ルテインの血清への摂取量増加を示す事によって、ルテインエステルのバイオアベイラビリティが遊離ルテインよりも高いことを見出した。バイオアベイラビリティが高いことを示唆した理由は、ルテインエステルが遊離ルテインと比較した場合、消化プロセスにおいて形成されるミセルへのより良好な分散、可溶化、および統合することがあげられる。しかし、この研究結果は、Chung氏による被験者が遊離ルテインまたはルテインエステルサプリメントを摂取した時に、血清中濃度の有意差は観察されなかった、という研究内容とは矛盾することになる。
本研究の目的は、ルテイン、ゼアキサンチン及びメソゼアキサンチンの二酢酸エステルの混合物の遊離ルテインの吸収有効性を測定することである。
吸収効率は、黄斑色素の網膜レベルを直接測定し判断される。
【研究期間】
24週間。これまでの研究から、服用期間中に黄斑色素の光学濃度(MPOD)の変化が予想されることが示されている。
【被験者の統計】
フロリダ国際大学の学生、教職員、およびスタッフから合計48人の被験者が募集された。18歳から30歳までと、50歳以上の被験者による2つのグループから成る。
被験者の人口統計は表1に要約されている。
【サプリメントの服用】
サプリメントは、食事の際に外観が同じゲルキャップの形態で提供された。
これを一日一回服用する。各ゲルキャップは植物油中に20mgのカロテノイドを含んでいた。ルテインゲルキャップについては、20mgの内、約95%がルテインで、残り約5%がゼアキサンチンであった(表1)。
【MPOD測定】
初日、6週目、12週目、18週目、24週目の最終日に測定。
【サプリメントがMPODに及ぼす影響】
大部分の被験者において、MPODへの確信的な変化が得られた。
【結論】
2結論として、黄斑カロテノイド二酢酸エステル体が、特に高齢者において遊離ルテインよりMPODを上昇させる際に有効であることを結論付ける。
これは、特定のエステルが、エステル化されていない物質よりも容易に吸収される可能性があり、生物学的にも利用可能であることを示唆する。